ヒルシュスプルング病の症状
ヒルシュスプルング病とは、腸がうまく動かないために慢性の便秘になってしまい、大腸が拡張する病気です。「先天性巨大結腸症(せんてんせいきょだいけっちょうしょう)」とも呼ばれています。
ヒルシュスプルング病は、先天性の病気で新生児や乳幼児にみられるものです。
症状としては、新生児の胎便(生後初めて排出する便のこと)の排泄が遅れることがあります。便が排出されないために、ガスや便が腹部に溜まって腹部はパンパンに張ります。
また、哺乳力が低下し、嘔吐を繰り返します。嘔吐物はだんだんと緑色になってくるのが特徴です。症状が進んでいくと、体重増加不良や、栄養障害などの症状も出てきます。
大抵はこのような症状から、生後一週間以内にはヒルシュスプルング病と気付かれることがほとんどです。
ヒルシュスプルング病の原因
ヒルシュスプルング病の原因は、腸の壁にある神経節細胞(しんけいせつさいぼう)が機能しないことによります。
通常、口から摂取した食べ物は胃腸を通って肛門から排出されます。ヒルシュスプルング病の場合、先天的に神経節細胞が欠如しているために、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう:腸が収縮すること。内容物を肛門まで移動させるために必要な動き)が起きないため、慢性の便秘になってしまいます。
便が何日間も排出されないことから、お腹の中はガスが溜まり、パンパンに張ります。そして、お腹がパンパンなので、母乳の摂取量が減り、また嘔吐の症状がみられていまいます。
ヒルシュスプルング病のメカニズムはこのとおりですが、なぜ先天的に神経節細胞が欠如してしまうのか、この原因についてはまだ分かっていません。
ヒルシュスプルング病の治療法
ヒルシュスプルング病の疑いがある場合は、まずは問診で胎便が排出されたのはいつか、またガスや便の様子はどうか、母乳はきちんと摂取できているかなどの確認をされます。
また、お腹の張りの様子を観察し、直腸に指を入れて腸の状態を確認するとともに、X線検査や直腸造影検査なども行なって診断します。
検査の結果、ヒルシュスプルング病と診断された場合、基本的には外科手術による治療となります。外科手術では、神経節細胞がない部分を取り除いて、正常な腸管と肛門部を結び合わせる手術が行なわれます。
場合によっては、人工肛門を造設する手術が行なわれることもあります。
腸管の神経節細胞の欠如範囲がわずかだという場合は、すぐに外科手術を行なうのではなく、浣腸などによって便を排泄するようにすることもありますが、ほとんどの場合は、外科手術による治療となります。